僕は幼少期を静岡県にある海と急な坂と山に囲まれた小さな温泉街で育ちました。
昼間は何となくシンとしている街も夜になると浴衣を着た観光客で溢れる昭和な街でした。
中心街に「セリザワレコード店」があり、親は買い物の途中に僕をそのレコード店に放り込み、買い物が終わると僕を迎えに来ました。
そのレコード店の近くに「東宝」と呼ばれる映画館がありました。その映画館で、僕は「ゴジラ対モスラ」や「007 サンダーボール作戦」や「エレキの若大将」を観ました。お決まりのバニラアイスクリームを買って。もちろんバニラアイスクリームの裏蓋についたアイスの断片を舌で舐めてとるのは当たり前田のクラッカーでした。
僕の初めての音楽体験は、まさしくその様な映画音楽の影響でした。
特に加山雄三の音楽はわずか6歳の僕の小さなハートを貫き、とりこにしたのです。
おじいちゃんのお通夜の時に、「戦場にかける橋」のサントラを大音量でかけ、親にこっぴどく叱られたのもこの頃です。
今でも初めて買った加山雄三のシングル盤をお店でかけたりします。すさまじいパチパチ音と共に、僕の記憶はあの小さなレコード店や地下にあったホコリっぽい映画館にフラッシュバックするのです。
今宵もどうぞよろしくお願い致します。